杭打ち事件(その1)‥‥人身御供にされた下請け

傾いたマンション事件
 
 
関係者のトップ、三井住友不動産の、人をナメたような、ちょっとだけの会見をを見て、
 
 
プチッときたので書くことにしました。
 
 
事件が明るみに出てからマスコミの論調は、杭打ち業者の旭化成建材が悪く、全責任があるような感じ。
 
 
ニュース番組の解説でも、販売主、元請けの名前は出さず下請けだけ実名報道が多い
 
 
おかしいでしょッ!
 
 
私に言わせれば、悪いのは三井住友グループが9割、旭化成は最大でも1割。
 
 
広告主として大得意先のグループのご意向を受けたのか、勝手にご機嫌伺いしてるのか
 
 
マスコミがこぞって生け贄を作って片付けようとしているかの印象を受ける。
 
 
こういう場合、下請けには「今後の仕事で面倒見るから‥‥」「悪いようにはしないから‥‥」
 
なんて因果を含めて言うことをきかせる‥‥社会派ドラマによくある筋書きですが‥‥
 
 
勘繰り過ぎですかね?
 
 
ドラマなら後で下請けのキーマンは自殺に見せかけて口封じ‥てのが定番、さすがにそれは無いでしょうけど(>_<)
 
 
建設業界を知らない一般の人にも分かりやすく責任の所在を説明しましょう。
 
 
今回の特徴は施主、販売、元請けが一つ企業グループであること。
 
 
これ程の建物なら通常、施主と元請けの間に設計業者がおり、この設計者が設計内容に責任をもち元請けと共に施工監理も行う。
 
 
今回は設計者の名前が出ないところを見ると三井住友建設の設計施工ということらしい。
 
 
すなわち、設計責任も施工監理責任も全て三井住友建設
 
 
余談だが、こういうゼネコンへの一括発注形式は日本独特。海外では監理と施工は別になるのが常識。
 
 
設計する前には当然、現地の地盤調査がなされる‥‥これがなければ設計しようがない
 
 
これだけの建物だ、当然、簡易な方法ではなくしっかりボーリングで地盤調査しているはず。
 
 
その調査報告には地下の各地層の地質、深さ、厚さ、N値(支持力)が素人でもわかる表になって提出される。
 
 
そして、その結果に基づく設計図面(当然基礎図面も)から、下請け業者も見積りし元請けの確認を受ける。
 
 
 
ここまで書けば、今回の「真相究明」が不自然なのは判りますね!
 
 
第一に
まずは地盤調査の結果と設計図書を確認しなければならないのに、発表されてない。
漫画的な説明画だけ。
ひょっとしたら、地盤調査がいい加減だったか、まさか調査してない!とか?
調査がしっかりされての設計ならば届かない杭が何十本も、しかも建物が傾くほど偏在するはずがない。設計ミスか!
 
第二に
元請けの施工監理の責任は全く問われてないこと。
監理責任は設計者と元請けにある。ゼネコンは基本的に施工部隊を持たない、各工種の専門業者に発注する。
各工程の問題が施工業者だけの責任なら、元請けゼネコンはナ〜ンニも責任が無いことになりますよ(^。^;)そんなバカなねぇ。
元請けの現場監督達は何をしていた?現場代理人は表に出て説明するべきだ。
 
 
第三に
下請けとの契約がどうなっていたのか?
下請けの旭化成建材の見積り書と契約図書があるはずだ。どちらも無しに着工はあり得ない。まさか「何メートルか分からないが支持層に届くまで打て、どれだけでも金は払う、判断は任せる」なんて無責任な内容ではあるまい?元請け責任は?
杭の量は多分、設計通り入荷されているはず‥杭の数は簡単にチェック出来るからね、一年生の現場監督でも判るよ(^。^;)
つまり、
旭化成建材は設計通り施工した、但し、設計不足を報告しなかった(?)、元請けも設計者も監理をしていなかったので気づかなかった(これも不自然、長い施工期間一度も現場に行かず担当者同士が話もしないなんてあり得ない)
どういうのが真相ではないのか。誰の責任が重いの?
 
 
その他、マスコミや被害者の認識の根本的な間違い
「大手なのに‥‥」「大手だから信用したのに」という表現が毎回のように聞かれる。どういう意味?中小企業は信用出来ないという意味か?ふざけるな!真面目に立派な仕事をしている中小企業が大半だ。むしろ大企業の立場にアグラをかいた横柄な姿勢が原因でしょう!
 
 
わが家も地盤が悪いので建て替えの時にはボーリング調査をしました。写真はその報告書の柱状図。
 
 
続く