兵(つわもの)どもが夢の跡
今日は定休日ですが、用があり米原市へ、
昼前に帰途についたのですが、特に予定もないので
高速道路はやめて国道8号線を南下することにしました。
最近は時間に追われて、無意識に最短時間のコースを考えるのを当然としていて、
いつも渋滞気味の国道を長距離走るのは久しぶり
若い頃、違う業界で営業マンとして走り回っていた頃を思い出す
零細企業の二十代半ばの若い営業マンの話を真剣に聞いてくれて、応援してくれた
老舗の繊維関連のA社、私が転職して暫く後に倒産
行ってみたが跡地は更地になっていて思い出すヨスガもない
寂しいかぎりだ。
あの人達はどうしているのだろうか。
今日までたくさんの人達との縁を頂いて生きてきた
流れる風景に、何となく、感傷的な気持ちになっていくのは歳のせい?
芭蕉の晩年の句が浮かぶ
「旅に病んで、夢は枯れ野を かけ廻る」
同じような心境だったのか とますますシンミリ
そういえば、この句に思い出があり
中学生の時、何の授業だったか?
木版に好きな文章を彫り拓本を作る授業があり、私が選んだ文がこの句
絵物語の霞を墨の濃淡で表して文字を浮かび上がらせた、内心では、めちゃくちゃ自信作
担当教師にすごい反応を期待して提出したところ
「ほうッ‥‥」
の一言で片付けられた。 (^。^;)‥‥センスのない奴め。
でも、今となって考えると、好きな文にこの句を選ぶ中学生‥ッてやっぱり「ほうッ」ですな
( ̄○ ̄;)
国道を南下するに従って荒んだ風景が増えてくる。
潰れて、そのまま放置された建物、パチンコ屋に飲食店、コンビニ、
ペンキで塗りつぶされて何を扱っていたのかも判らない無惨なショップの残骸
凄まじい勢いの夏草がわずかな隙間を見つけては容赦なく侵蝕していて一目で廃屋と知れる
「夏草や 兵どもが 夢の跡」
いずれも成功を夢見て始めた店であったろうに、
失敗とあっさり諦めた人はまだ傷も浅くてすんだかもしれないが、
最後の最期まで頑張り、矢尽き刀折れて、力尽きた人も多かったと思う
彼らの無念さを想うと独立して二十年余、今の自分の幸運を想う。
しみじみしてしまった真夏の8号線でした
機関砲みたいな砲身が出ていて、乗用車なみのスピードでした
哀愁の欠片もありゃしない。