映画の話
映画館がいっぱいらしいです。私もまだ見ていませんが落ち着いたら見に行きます。
納棺夫という仕事があることも知りませんでした。
今回の受賞に色んな解説がされていますが、日本的なものが理解されたみたいなニュアンスがありました。
私はちょっと違う感想。日本人は殆ど仏教、特に葬式は仏教です。
ところが仏教では遺体の扱いはそれほど重要視されていません。
人は亡くなると魂となって体を離れ仏の世界に行くのです。つまり、遺体は魂の抜けた空っぽの存在、
「亡骸=なきがら」とはそういう 意味であり、昔は遺体を山に捨てた地方もあったそうです。
火葬にも抵抗感があまり有りません。
対して、キリスト教社会では「イエスの復活」の影響なのでしょうか土葬が圧倒的です。
だから 遺体を綺麗にしてあげる行為は、むしろキリスト教社会にこそ理解されるものと思いました。
先日、偶然 CATVでみた映画。題名は「ユキエ」
舞台はアメリカ、セリフも殆ど英語。アメリカ映画だと思って見ていたら日本映画でした。
戦後、駐留軍兵のアメリカ人男性と結婚して渡米したユキエがアルツハイマーを発症する話。
事業に失敗して小さな家で慎ましく生きる老夫婦、少しづつ異常な言動が増えていく妻。
あるとき、正常な妻が夫に聞く「私、アルツハイマーなの?」「‥そうだ」「……ありがとう」
仕事に出かける夫に「私を閉じ込めて」と家に外から鍵を掛けるように頼む妻。そしてガラス越しに見送る不安な顔、振り返りつつ出かける夫。印象的なシーンでした。
夫は息子の提案する同居も断り、自分で妻を守り、「二人の人生」を全うしようとします。
ラストは夕日の当たるベランダでの静かで穏やかな二人の食事シーン。流れる曲は YOU ARE MY SUNSHINE
この二つの映画、めったやたらと物を破壊して人がバタバタ死んで行くアメリカ映画とは対極のもの。
アカデミー賞がきっかけにして日本映画がもっと見直されると良いですね。